最終更新
生命保険の主な三類型
生命保険には数多くの商品がありますが、死亡保障の基本形は大きく「定期保険」「終身保険」「収入保障保険」の三類型に整理できます。定期保険は、10年・20年といった一定期間を保障の対象とし、その期間内に万一のことがあった場合に保険金が支払われる仕組みです。保険期間が終われば保障も終了し、貯蓄性を持たない代わりに、同じ保険金額であれば保険料が比較的抑えられる傾向があります。
終身保険は、その名の通り保障が一生涯続く仕組みで、解約した場合には解約返戻金を受け取れる貯蓄性を持つ商品が多いのが特徴です。保険料は定期保険より高めに設定されることが一般的ですが、途中で解約しない限り保障が途切れないため、葬儀費用や相続対策など、生涯にわたる保障ニーズに対応しやすい設計です。
収入保障保険は、万一のことがあった場合に、保険金を一括ではなく年金のように毎月・毎年受け取る仕組みの定期保険の一種です。保険期間の経過とともに残りの受取期間が短くなるため、同じ保険金額の定期保険と比べて保険料が抑えられる傾向があり、子どもの成長に合わせて必要保障額が徐々に減っていくという家庭の実情に合わせやすい商品です。
このほかに、医療保険・がん保険・介護保険といった「生存保障」を主目的とする商品群もあります。これらは死亡した場合ではなく、入院・手術・がんの診断・介護が必要になった場合に給付金が支払われる仕組みで、死亡保障を主目的とする定期保険・終身保険・収入保障保険とは役割が異なります。両者を混同せず、「万一の死亡に備えるのか」「生きている間の医療費・介護費に備えるのか」を分けて考えることが、保障設計の第一歩になります。
保険料の仕組みと選び方の視点
これら三類型のどれを選ぶかは、貯蓄性を重視するか、保険料の効率を重視するかという視点で整理すると分かりやすくなります。貯蓄性を重視する場合は終身保険、保険料の効率を重視しながら一定期間の大きな保障を確保したい場合は定期保険、子育て期間に合わせて保障額を段階的に減らしたい場合は収入保障保険が、それぞれ検討対象にしやすい選択肢になります。
また、複数の類型を組み合わせる考え方もあります。たとえば、葬儀費用など生涯にわたって必要な最低限の保障は終身保険で確保し、子どもが独立するまでの間に必要な大きな保障は収入保障保険や定期保険で上乗せするという組み合わせ方です。一つの商品だけですべてを賄おうとせず、必要な保障の性質ごとに使い分けるという発想が、無理のない設計につながります。
保険料の払込方法にも選択肢があります。毎月一定額を払い込む「平準払い」が一般的ですが、終身保険の中には保険料を一定期間で払い終える「短期払い」と、生涯にわたって払い続ける「終身払い」を選べる商品もあります。短期払いは月々の負担が重くなる一方、退職後の保険料負担をなくせるという利点があり、終身払いは月々の負担を抑えられる一方、長生きするほど払込総額が増える可能性があります。どちらが適しているかは、退職後の収入見込みや資産状況によって異なります。
必要保障額の見積もり方
必要保障額とは、万一のことがあった場合に、残された家族の生活を支えるために必要となる金額から、遺族年金や貯蓄など既にある備えを差し引いた不足分のことです。一般的には、以下のような項目を洗い出して計算します。
| 項目 | 考え方 |
|---|---|
| 必要な支出の総額 | 生活費・教育費・住居費など、末子が独立するまでの見込み額 |
| 既にある収入・資産 | 遺族年金の見込み額、預貯金、配偶者の収入見込み |
| 必要保障額 | 必要な支出の総額から既にある収入・資産を差し引いた不足分 |
この計算はあくまで目安であり、住宅ローンに団体信用生命保険が付いている場合は住居費の扱いが変わるなど、家庭ごとの条件によって結果は大きく変わります。一般社団法人生命保険文化センターは、生命保険に関する実態調査や必要保障額の考え方について情報を公開しており、自分で試算する際の参考になります。
共働き世帯の場合は、どちらか一方が万一のときに、残された配偶者の収入だけで生活が成り立つかどうかも重要な視点です。配偶者の収入が家計の大部分を占めている場合は、その配偶者に必要保障額を厚めに設定し、収入の少ない方には最低限の葬儀費用程度を確保するといった、世帯内での配分の考え方も検討材料になります。単身世帯であっても、葬儀費用や身の回りの整理にかかる費用を見積もっておくと、必要最低限の保障額の目安がつかみやすくなります。
特約という考え方
死亡保障を主契約としたうえで、医療保障やがん保障を「特約」として付加する商品も多く販売されています。特約は主契約に付随する形の保障で、主契約を解約すると特約も同時に終了するのが一般的です。医療保障やがん保障を生涯にわたって確保したい場合は、特約ではなく単体の医療保険・がん保険として別に加入するという選択肢もあります。
学資保険や外貨建て保険など、貯蓄性・運用性を前面に出した商品も、死亡保障を組み合わせた生命保険の一種です。これらは保障と貯蓄・運用の両方の性質を持つ分、仕組みがやや複雑になるため、教育資金の準備を目的とする場合は、学資保険と、NISAなどを活用した積立投資とで、それぞれの特徴を比較したうえで検討するとよいでしょう。
外貨建て保険は、円建ての商品と比べて予定利率が高く設定されている場合がありますが、為替変動によって円換算での受取額が増減するリスクを伴います。為替の動きによっては、払い込んだ保険料の総額を円換算の受取額が下回る可能性もあるため、仕組みを十分に理解しないまま加入することは避け、為替リスクをどこまで許容できるかを事前に考えておく必要があります。
検討時によくある誤解
よくある誤解のひとつが、「保険金額は大きいほど安心」という考え方です。保険金額を大きくすれば保険料も比例して上がるため、必要保障額を超えた保障は家計を圧迫するだけの負担になりかねません。公的保険で足りる部分を差し引いたうえで、不足分だけを保険で備えるという考え方に立ち返ることが重要です。
もうひとつの誤解は、「一度加入したら見直す必要はない」という思い込みです。必要保障額は、子どもの成長や住宅ローンの返済状況、貯蓄額の増加に応じて変化します。加入時点では適切だった保障額も、数年後には過大または過小になっている場合があるため、定期的な見直しが必要です。見直しのタイミングについてはライフイベント別の見直しタイミングで詳しく扱います。
検討前のチェックリスト
- 末子が独立するまでに必要な生活費・教育費の総額の目安
- 遺族年金として受け取れる見込み額(ねんきん定期便等で確認)
- 住宅ローンに団体信用生命保険が付いているかどうか
- 貯蓄性を重視するか、保険料の効率を重視するか
- 医療保障・がん保障を特約で備えるか、単体の保険で備えるか
- 短期払い・終身払いのどちらが退職後の家計に合っているか
- 外貨建て商品を検討する場合、為替リスクをどこまで許容できるか
これらの項目を書き出したうえで、複数の保険会社の商品を比較する段階に進むと、条件に合わない商品を早い段階で除外しやすくなります。会社ごとの特徴の違いは生命保険会社の比較表で、会社形態・販売チャネル・主力領域という切り口から確認できます。
よくある質問
定期保険と収入保障保険はどう違いますか。
定期保険は保険金を一括で受け取る仕組みで、収入保障保険は保険金を年金のように分割して受け取る仕組みです。収入保障保険は保険期間の経過とともに受け取れる総額が減っていく設計のため、同じ保険金額であれば定期保険より保険料が抑えられる傾向があります。
終身保険は解約すると損をしますか。
加入から短期間で解約すると、解約返戻金が払込保険料の総額を下回ることが一般的です。終身保険は長期間の継続を前提とした商品設計になっているため、途中解約の可能性がある場合は、解約返戻金の推移を契約前に確認しておくとよいでしょう。
学資保険と積立投資はどちらがよいですか。
学資保険は契約時点で将来の受取額がある程度確定する一方、積立投資は運用成果によって受取額が変動します。どちらが適しているかは、確実性を重視するか、運用による増加を期待するかという方針によって異なるため、断定的な優劣はつけられません。
健康状態によって加入を断られることはありますか。
多くの生命保険は、加入時に健康状態や既往歴について告知する義務があり、内容によっては加入をお断りされたり、特別な条件が付いたりする場合があります。持病がある場合でも加入しやすい設計の商品もあるため、健康状態に不安がある方は、複数の会社や商品を確認したうえで検討するとよいでしょう。
保険料はどのような要素で決まりますか。
保険料は、契約時の年齢・性別・保険金額・保険期間・保障内容に加え、健康状態や喫煙の有無といった要素によって決まります。同じ保障内容であっても、加入年齢が若いほど保険料は低く設定される傾向があるため、必要性を感じた時点で早めに検討を始めることも一つの考え方です。
まとめ:次に読むページ
生命保険の検討は、定期・終身・収入保障という三類型の仕組みの違いを理解したうえで、公的保険との差分から必要保障額を見積もるという順序で進めると、過不足のない保障設計がしやすくなります。
各社の商品を提供する生命保険会社の違いを確認したい方は生命保険会社の比較表へ、見直しの具体的なタイミングを知りたい方はライフイベント別の見直しタイミングへお進みください。
